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リレーエッセイ vol.7

映像翻訳に求められる日本語文章表現力

日本語学科3年
高橋遥

  “I’m going to make him an offer he can’t refuse.”これは、映画『ゴッドファーザー』で登場するセリフの一つです。皆さんはこの英文をどう訳しますか。学校のテストだったら、“私は彼に拒否できないような申し出をするつもりだ。”などと答えるでしょうか。では、映画の字幕となるとどうでしょうか。
  先日、大学の30周年記念の一環として、日本語学科主催の「映像翻訳の醍醐味と課題」という講演会が開かれました。映像翻訳の場で活躍されている講師の方々をお招きし、映像翻訳のポイントや今後の課題についてお話をいただきました。また、映像翻訳者に求められる力について、実際に字幕翻訳のワークを通して学びました。
  講演会の中で一番印象的だったのは、映像翻訳者には英語力だけではなくコンテンツの解釈力や日本語力も求められる、という点です。映像翻訳は学校のテストの和訳とは異なり、視聴者の映像理解を助けるという目的があります。そのため、映像と同じタイミングで楽しむ分量の訳でなくてはなりませんし、登場人物の性格や感情に合わせた表現を使う必要があります。ここで求められるのが、日本語文章表現力です。例えば、冒頭で紹介した文ですが、直訳してしまうと登場人物の口の動きに合わなかったり、字幕になったときに文字数があふれてしまったりします。講演会の中ではこの文を7文字程度で翻訳するという課題が与えられました。私が考えた訳は「安心しろ 何とかする」です。きっとテストだったらこの解答は不正解になるでしょう。しかし、映像翻訳においては、これも正解になりうるはずです。決められた文字数の中で、いかに映像の内容や世界観を伝える翻訳をするのか、そこに日本語の語彙力や表現力が活きてくるのかなと感じました。
  このように、映像翻訳において、原語での意味や想いをできる限り忠実に伝えるには、高い語学力だけでは不十分といえます。翻訳者には、英単語を多く知っていたり、文法を正しく使えたりすることに加えて、日本語で的確に表現する日本語表現能力が求められるのだと、強く感じました。そのような点で、日本語学科での学びは翻訳者に通ずる点が多いのかなと思います。