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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第44号 2017年4月13日〕


今月の話題 「「お疲れさま」はどんなときに使いますか」

第43回、2月のチャレンジ問題は、「お疲れさま」という表現についてでした。
留学生が、授業が終わったあと、(1)「先生、お疲れさまでした」と言って教室を出て行くことは少なくありませんが、近頃、日本人学生からも「お疲れさまでした」や「お疲れさまです」という声を聞きます。みなさんは、どんな場面で、「お疲れさまでした」や「お疲れさまです」を使いますか。あるいは耳にしますか。また、違和感を覚えたことはありませんか。具体的な場面を示して、そこから、「お疲れさま」はどのように使うのか、分析して送ってください、というのが課題でした。

「お疲れさま」は、相手をいたわる表現です。その人がやったことを、相手に負担を与えることなく、軽い感じで好評価する、また、ちょっとした感謝の気持ちも込めることができる、便利な挨拶ことばだと思います。「ご苦労さま」「ご苦労さまです」も,「お疲れさま」とよく比較されますが,これは、上位の者からの労いの意があるので、下の者が上司や先生に使ってはちょっと失礼です。では、「お疲れさま」「お疲れさまです」については、上下関係なく使われるのでしょうか。この点にも注目しながら、考えていきたいと思います。

「お疲れさま」は海外でも使われているようです。先日、日本語教育の実習で、ハノイの大学に行って来たのですが、ここでも、何回も「お疲れさま」を耳にしました。この実習は、日本語学科の学生が、ハノイの大学の先生方の指導のもとにベトナム人の学生に日本語を教えるというものです。
実習生の日本人学生たちは、他の先生方がいらっしゃる大学の講師室で準備をします。ベトナムの先生方が「お先に失礼します」と先に帰宅されるとき、他のベトナムの先生方は(2)「お疲れさまでした」とおっしゃっていました。実習生たちも、(3)「お疲れさまでした」と返していました。
また、実習生は一人ずつ授業を受け持つのですが、授業が終わると、必ず他の実習生が(4)「お疲れさま〜!」と言っていました。私も(5)「お疲れさま」と言っていたと思います。
この実習は2週間あるのですが、教師の引率は前半と後半に分かれ、私は後半でした。ハノイに着いた夜ホテルからLINEで「ハノイに着いていますよ」と実習生に送ったところ、(6)「お疲れさまです」というメッセージが届きました。また、私は、前半の先生が帰国された後、その先生に、(7)「本当にお疲れさまでした」と、メールを送りました。さらに、私が帰国したとき、メールで学科長に報告したら、(8)「お疲れさまでした」と返信がきました。

みなさんは、上記の(1)〜(8)の「お疲れさま」の使い方で不自然だと思ったものはありましたか。前回のチャレンジ問題の出題時に、私は、授業が終わったとき留学生や日本人学生が、(1)「先生、お疲れさまでした」と言って教室を出て行くことに違和感を覚えると書きました。しかし、今回、上記の(2)〜(8)の使い方を直接見聞きしていて、特に不自然には感じませんでした。

さて、私はなぜ(1)の「お疲れさまです」に抵抗があったのでしょうか。学生は、悪気は全くなく、授業で奮闘していた教師に対して、お疲れになったでしょう、という意で言ってくれたのだと思います。これは学生から先生へだからダメというのではなく、私の語感では、「お疲れさまです」はお互いに何か共同の作業をしたり、所属や仕事でつながりがある場合等、「共同」の意識があるときに使われるのだと思います。例えば、何かのイベントを学生と教師が一緒にやったら、終わったとき、教師に向かって「お疲れさまでした」と言ってもいいと思います。
学生に「お疲れさまです」はいつ使うのかと聞いたら、皆、口を揃えて、アルバイトが終わって帰るときと言います。上司にも使うのかと聞くと、店長にも言うそうです。この感覚で教師にも言うのかもしれません。アルバイト先で上司に「お疲れさま」を使う点については、「職場」では店長も自分たちも、同じ働き手という仲間意識が働いているのでしょう。また、店長との歳の差もさほど大きくなければ、上下関係を気にせずに、「お疲れさま」を使えるのかもしれません。

(2)〜(8)はどうでしょうか。(2)はベトナムの教師同士(同僚)、(4)は実習生同士、(5)は教師から学生、(7)は引率の教師同士(同僚)、(8)は学科長(上司)から引率の教師です。すべて共同意識がある関係で、同じか、あるいは上から下へ向けて発せられています。
一方、(3)と(6)は下から上へ向かっています。しかし、(3)の場合は、学生は、今回は実習生でも一応「教師」です。講師室の他の先生とは、講師室を共同に使う仲間(教師同士)ということで、あまり違和感がなかったのだと思います。(6)で、学生が教師である私に、LINEで「お疲れさまです」と書いてきたことについては、私は、違和感よりも、むしろ嬉しく感じました。このことばの背後に、異国で実習をともにする仲間意識が働いたのと同時に、私たち実習生のために遠い日本から来てくれてありがとうという気持ちが感じ取れました。

それでは、「お疲れさまです」を使わないほうがいい場合はどんなときでしょうか。私は、イベント等を一緒にやったとしても、また、同じ組織に所属していても、あまりにも上の人には言いにくいように思います。「お疲れさま」は、本来一緒に「汗水流してやった」というような「共同」意識があるときに使えるのではないかと思います。入試や大学祭等のイベントが終わったときに、私はやはり学長に向かって、「お疲れさまでした」とは言えないように思います。もし、大学祭の準備で、学長と一緒に、ハチマキを締めて汗水流して、テント張りをしたとしたら、終わったとき、「お疲れさまでした!」と言えるかなあとも思いますが。そのときには、学長と一教師という立場ではなく、それを越えた人間関係が優位に立った状況になっているのではないかと思います。

まとめると、「お疲れさま」を使う場合には、まず「共同意識」が働くという前提条件があり、学生同士や同僚同士、あるいは教師から学生のように上から下の場合には問題はないが、下から上の場合には、その人との親密度も関係するけれども避けたほうがいい、というのが私の結論です。みなさんは、どのように考えましたか。
(日本語学科 田中真理)

今月のチャレンジ

第44回、4月のチャレンジ問題は、「自然言語vs人工言語」についてです。
最近、人工知能(AI:Artificial Intelligence)が注目を集めています。皆さんの身近でも、ワープロなどに日本語を入力するときに使う「かな漢字変換システム」や「自動翻訳ソフトウエア」などに「自然言語処理システム」が使われています。「自然言語」とは、人間が日常のコミュニケーションで使う言語を言います。この 「自然言語」 をコンピュータで処理することを 「自然言語処理」 といいます。一方、プログラミング言語のように人間によって設計された言語は人工言語と呼びます。
 では、コンピュータが以下の例文を理解しようとすると、文をどのように区切れば、他言語への翻訳がたやすくなるでしょうか。回答(1)から(3)の中から選んでください。

例文
「私は昨日学校へ行きました」
回答
(1)私は/昨日/学校へ/行きました
(2)私/は/昨日/学校/へ/行き/ました
(3)私/は/昨日/学校/へ/行き/まし/た