グローバルナビゲーションを飛ばして本文へ

グローバルナビゲーションを飛ばしてローカルナビへ

グローバルナビゲーションを飛ばしてフッターナビへ



= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第38号 2016年9月8日〕



今月の話題 「外国人への質問」

第38回、8月のチャレンジは、外国人に対して日本人がよくすると言われている、「お箸は使えますか」や「お刺身は食べられますか」などの質問に対する意見を尋ねるものでした。

そもそも、日本人がこのような質問をするのは何故なのでしょうか。海外でも、お刺身やお寿司を食べたりする人も増え、箸文化圏以外の出身者でもお箸を使う人も増加していますし、日本人の意識も変化してきてはいます。しかしながら、親日家でDelighting in Culturesの著者であるRoger Pulversは、日本人は、まだ、日本文化は独特であり、(極東出身者以外の)外国人が日本人の行動や文化に触れた際に、文化の違いに驚いたり、理解しがたい態度を示すのが普通で、極端に日本通の外国人には、却って困惑することもあると説明しています。
 つまり、外国の人は、お刺身が食べられなくても、お箸が使えなくても当然だと考える日本人が多くいて、「お刺身は食べられますか」や「お箸は使えますか」と聞くことで、「食べられない」、「使えない」場合に、相手がそう答えやすいように「気配り発話」をしていると解釈できます。このように親切心から尋ねている場合もあるでしょう。
 このような「気配り発話」は、日本人の言語行動では珍しくありません。しかし残念ながら、必ずしも日本語話者が意図しているように解釈されない場合もあるようです。社会言語学者のザトラウスキーによると、日本語では、相手にどこかに一緒に行こうと誘う際、相手があまり乗り気でなかったら、相手が断りやすいように、助け舟を出し、「この前行ったばっかりだしね?」や、「まあ、無理だと思ったけどねえ?」などという「気配り発話」をする傾向があると述べています。しかしそう言われた英語話者は、相手が本心から自分を誘ってくれているわけではなく単なる社交辞令ではないかと思ってしまうそうです。
さて、今回の「外国人への質問」が気配り発話であるにせよそうでないにせよ、言われたらどんな気持ちになるのでしょうか。もちろん個人差はありますが、それらの質問は相手の私的領域(能力)に関する質問とも受け取られ、失礼だと感じる人も多いはずです。
 その原因は、外国人に対する日本人の意識の問題だけではなく、日本語の表現の影響もあるように見受けられます。日本語同様、英語でも、手に怪我をしている人にお箸が使えるかどうか聞く場合には、使えないかもしれないという前提のもと、Can you use chopsticks?は自然で、失礼にはなりません。 しかし、駅まで歩こうかどうしようかというような時に、Can you walk?と訊くと、歩く能力をもっているかどうかを聞かれているように解釈される可能性もあるので、注意が必要です。
 では、能力に言及せず、Do you use chopsticks? やDo you eat raw fish? ならよいのでしょうか。 確かに、「使いますか」や「召し上がりますか」の方が、「使えますか」や「召し上がることができますか」より、相手の生活習慣や好みについて聞いる感じがしますし、「苦手なものはありますか」という表現だと、前提は、苦手な食べ物があるかもしれないというだけなので、好ましく思えます。ただ、飲食店で、お客様全員に尋ねるのはいいのですが、外国人客にのみ聞くことは避けたいものです。
 日本に永住している英国出身の同僚は、日本人と一緒に外食すると、いかにも外国人に見える自分だけに、「食べられないものはないですか」と訊かれることにうんざりして、「犬食べない」「猫食べない」と答えるのだと言っています。
 たとえ親切心からの発言でも、聞き手に不快感を与えることもあるので、我々の発話が、異なる立場の人にどう受け止められるのかに注意してしすぎることはないと思えた瞬間でした。これは、異文化出身の人とのコミュニケーション時のみならず、どんな場合にもでも言えることだと思います。よりよい人間関係の構築には、相手の立場に配慮したコミュニケーションをとりたいものですね。

(日本語学科 高士 京子)

今月のチャレンジ

第38回、9月のチャレンジは、「しきたり」についてです。

 私たちの生活の中には、冠婚葬祭など、人生の節目となる行事がいくつもあります。冠婚葬祭の「冠」は人の誕生から死に至るまでの人生の節目に行う通過儀礼を指し、生命の誕生を喜ぶ「帯祝い」や赤ちゃんの健康と幸せを願う「お宮参り」、成人への通過儀礼として「成人式」、長寿を祝う「年祝い」などがあります。行事や祝い事を通じて贈り物を贈ったり、お返しを贈ったりすることも、行事の一部として大切に捉えられています。

 それでは、今月のチャレンジ問題です。「大安に結婚式を挙げよう」、「友引だから、葬式は繰り上げたほうがいい」という会話をよく耳にするように、冠婚葬祭などの行事を催す時や、贈り物を贈る時には、カレンダーの六曜「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」を見て日取りを決めます。なぜ六曜を念頭に日取りを決めるようになったのでしょうか。