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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第36号 2016年7月14日〕



今月の話題 「学びとは何か:教師主体の「教える」から学生主体の「学ぶ」へ

第35回、6月のチャレンジでは、「教える」と「学ぶ」に関わる言葉について取り上げました。前回の答えを確認しながら、学習(ラーニング)と教授(ティーチィング)を中心に「学び方」について考えます。

 問題1では、社会人教育の分野で注目を集めている「ビジネス・コーチング」を取り上げました。コーチングとは、「相手の能力を引き出し、高めること」を目的としたコミュニケーションスキルを言います。コーチングでは、相手が自分の考えを整理し、答えが導くことができるような「質問」を投げかけることで、自ら解決策を発見できるように導きます。また、「傾聴(けいちょう)」と呼ばれる「積極的に相手の話を聞く姿勢」を示すことで、相手と信頼関係を築くことを基本としています。

 問題2は、クラス運営のスタイルについての問題でした。通常の授業では、1人の先生が1つのクラスを教えます。ところが、授業内容が多く、先生が1人ですべてを教えきれない場合もあります。そのような時は、数名の先生でグループになって、1つのクラスを教えることがあります。このような教授形態を「チーム・ティーチング」と呼びます。

 問題3は、日本の学校教育における学び方の変化を問う問題です。最初の空欄には「アクティブ・ラーニング」、2番目には「ファッシリテーション」が入ります。

 日本の学校教育は、伝統的に教室で学んだ知識をどれくらい正確に覚えているか、それを再現できるかが問われてきました。そのため、大学入試も正確で大量の知識を試されることが多く、その準備のための授業も知識伝達型の講義になりがちでした。つまり、「昔の大学生は、静かに先生の話を聞いてしっかりノートを取り、テストを受けることで良い成績をとることができた。」ということになります。
 しかし、最近の大学では、学生が自ら考え、主体的に学ぶことを奨励しています。大学教育の改革を目指した文部科学省中央教育審議会の答申(2012年8月28日)でも、「従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である」と述べられています。
 そのため、教師の話をよく聞き、それを覚えるだけでは十分でなく、時には、議論をスムーズに調整しながら相互理解に向けて話し合いを調整する「ファシリテーション」も求められます。

 大学などの高等教育だけでなく、初等中等教育の「学習指導要領」においても、「各教科等の評価においてみずから学ぶ意欲の育成や思考力、判断力、表現力などの能力の育成を重視する」と『新学力観』が打ち出されています。
 複雑な現代社会を生き抜くためには、素直に教師のいうことを聞いて実行する「指示待ち人間」では十分とは言えず、自ら考え、答えを見つけ出していく積極的な学びが求められています。
 今回は、「教える」と「学ぶ」をめぐる最近の流れを整理してみました。

(日本語学科 加藤由香里)

今月のチャレンジ

 第36回、7月のチャレンジは、インターネットを検索することで分かる日本語について取り上げます。インターネットを巨大な言語資料と考えて、ある言語現象や言語項目について、インターネットで検索することで、その現象や項目の使われ方を知り、分析する方法があります(参考:荻野2014)。その方法を使って、東海地方の気付かれにくい方言「〜てみえる」について考えてみましょう。

(1)気付かれにくい方言「〜てみえる」
「みえる」は、共通語では「来る」の尊敬語として使用されます。

 1) 取引先の社長がはるばる遠くからみえた。

しかし、東海地方では「居る」の尊敬語として使用されます(例2)。さらに、「〜てみえる」の形で、「〜ている」のような補助動詞の尊敬語としての用法があります(例3)。

 2) 校長先生が校長室にみえます。
 3) 校長先生が向こうの廊下を歩いてみえる。

共通語と若干用法は異なるものの、語形が同じなので、東海地方では共通語だと認識されています。しかし、共通語には無い用法で、方言だとはあまり気付かれていません(真田・友定編、山田執筆2007:p.140)。このようなことから、こういう表現を「気付かれにくい方言」と言います。

(2)インターネットでの検索
では、この表現をインターネットで検索し、その使われ方がどうなっているか、考えてみましょう。

フレーズ検索とワイルドカード検索という方法でこの表現を検索します。フレーズ検索は、検索語を「" "」で囲む方法です。「" "」で囲まれた表現をそのままの文字の並びで検索する方法です。ワイルドカード検索は、検索語にアスタリスク(*)を入れて検索します。検索結果には、アスタリスクがあるところに1語以上の何らかの語が入った結果が表示されます。

試しに、Googleで「"コーヒーを * 飲んだ"」と検索窓に入れて(「" "」を必ず入れて)検索してみましょう。どんな結果が出てくるでしょうか?「 * 」のところにいろいろな表現が入った結果が表示されたと思います。たとえば、「1杯」「初めて」「大切に」「結構」などが表示されます。

【問題】では、Googleで「〜てみえる」を検索してみましょう。

(問1)「" * てみえる"」と入力して検索すると、「 * 」のところにどんな表現が入った結果が出るでしょうか?

(問2)それらは方言の尊敬語としての表現でしょうか。それとも別の表現でしょうか。別の表現だとしたら、どんな表現でしょうか。

参考:荻野綱男(2014)『ウェブ検索による日本語研究』朝倉書房
真田信治・友定賢治編(2007)『地方別 方言語源辞典』東京堂出版(山田敏弘「東海/名古屋」執筆)

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