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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第34号 2016年5月12日〕


今月の話題  「聞いてもわからないことば」

第33回、4月のチャレンジでは、聞いただけではなんのことか見当がつかないことば、逆に、なぜそういうのかわからずに使っていることばの例を紹介しました。この話題について、二つの方向から考えてみたいと思います。

【漢字のチカラ】 わたしたちは、何かことばを聞いた時に、なぜ、という理由付けをしたくなるものであって、その理由付けとして、漢字を思い浮かべて意味を想像することがよくあります。前号の「ばっかん」は、「爆艦」という漢字を思いつけば、なんとか腑に落ちます。前号の問題の1〜3は、漢字を思い浮かべることで意味が推測できたでしょう。

1.カンソクロカで丁寧に作っています。…「緩速濾過」が正解です。水を砂などの厚い層に通し、微生物などの働きを利用して浄水を作る方法で、黒酢などの製造にも応用しているそうです。「かんそく」はとっさにはわかりませんが、「緩」「速」という漢字の意味から「ゆっくり」、「濾過」というからには液体だろうという推測が簡単にできます。

2.シュウバイヒンを処分する。…「終売品」です。衣料品店で見かけました。製造が終了し在庫品だけが残っている商品のことで、販売業では広く使われていることばでしょう。通信販売などで、‘レア感’を出すためにも使われるようです。「しゅうばい」は、国語辞典にも載せていないものがあり、一般的な語ではないようですが、表記が「終売」とわかれば、意味はすぐにわかります。

3.エッスイのおそれのある箇所を補強している。…「越水」です。水位が堤防などの高さを超え、水があふれ出すことです。堤防などが破壊されるのは「決壊」になります。治水・土木・防災などの分野の用語ですが、2015年、鬼怒川水系の水害の報道で一般に知られるようになりました。
 漢字は意味をもつ文字(表意文字)で、漢字を組み合わせることによって、新しい、複雑な意味をもつ語を容易に作ることができます。一方、漢字は字音が限られていて、その組み合わせが耳慣れない語形になることもあります。抽象概念を表す語や特定分野の用語の理解には、しばしばその漢字表記を思い浮かべることが助けになります。

【ウチのことば】 もう一つ、ことばは‘分野・領域’や‘仲間’の中で作られ、使われるということがあります。「緩速濾過」「終売品」「越水」は、特定の分野の語が一般の人々には耳慣れない例でした。4〜6も特定の分野のことばです。

4.現在ショテイに運転しています。…電車の車内アナウンスで聞きました。「所定」、つまり、定刻どおりに運行しているという意味だと思われます。鉄道会社の社内用語でしょうか。一般の乗客にとっては、漢字表記を思い浮かべたとしても、推測に苦労する表現でしょう。

5.毎朝ウサンポしています。…「うさぎの散歩」のことだそうです。テレビ番組で、ウサギに犬のようにリードをつけて散歩させるのがはやっているというレポートに出てきました。聞いたのはその一度だけで、ブームにはならずに消えたことばのようです。

6.道が狭くてリゴウできない。…「離合」で、自動車がすれ違うことを言います。関西以西で普通に用いられるそうで、なぜこれが問題になるのかわからん、という方もおられたようです。

 ことばは、まず自分の身の回りや職場などの範囲で必要なことを伝えるために使われます。そこでことばを交わす相手は限られています。限られた地域だけで用いられることばもあり、ソトの人々には通じない語・表現も生まれるし、「駆逐」が「きちく」のようにおかしな変化が起こったりもします。それは、グループの中で、お互いがわかっていることを前提に、素早く効率的なコミュニケーションをとるために役立つことでもあります。
 しかし、そうした特定の分野の語・表現がメディアにのったりネットで拡散したりして、一般の人々が触れるようになる機会は増えています。外来語の濫用が問題になるのと同じように、自分がなじんでいることばがソトの人にも、問題なく違和感なく通じるものかを考えながら、節度をもって使用することが望まれます。 (日本語学科 中道真木男)

今月のチャレンジ

★ このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題します。解答を考えて送ってください。タイトルを「5月のチャレンジ」として、解答のあとに、お名前と所属を書き添えてください。
★ 送り先は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)です。
★ 次号で、送っていただいた解答のうちおもしろいものと解説を掲載します。

第34回、5月のチャレンジは、「今、シャワーを浴びている」と「あっ、財布が落ちている」に使われている「〜ている」を取り上げます。

みなさんは、補助動詞と本動詞ということばを聞いたことがありますか。補助動詞とは「〜ている」「〜ておく」「〜てみる」などで、本動詞は普通「動詞」と呼ばれている「いる」「置く」「見る」などです。「補助動詞」というのは、本動詞の意味をちょっと残して、別の動詞の後ろに付きます。「今、ビールを飲んでいます」「ビールを冷やしておきます」「インドネシアのビールを飲んでみます」のように、日本語では非常によく使われます。
さて、この補助動詞「〜ている」ですが、大きく分けて2つの用法があります。

(1) 今、シャワーを浴びているので、電話に出られない。
(2) あっ、財布が落ちている。

(1)は、みなさんもよく知っている進行形です。英語のbe -ingです。この形はインドネシア語にもありますし、他の言語にもあるでしょう。(2)は、日本語教育では、よく「結果の状態」とか「結果の存続」と言っています。つまり、「財布が落ちて、その結果、落ちた状態が続いている」ということです。

この2つの用法を、外国人(大学生)に教えるとしましょう。みなさんが先生なら、どちらを先に教えますか。そして、そう考える理由は何ですか。何でも思いついたことを書いて送ってください。お待ちしています。

★ あなたのお答えをお待ちしています。
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