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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第30号 2015年12月10日〕


今月の話題 「言語学習では、これが大切!」

 第29回、11月のチャレンジでは、言語学習に対して学習者や教師が持っている信念(ビリーフ)について考えてもらいました。日本語を学習する世界各地の学習者を対象にした調査結果で、「外国語学習で一番大切なのは文法である」というビリーフに対して「賛成」の意見が強い順に以下の8つを並べるとどのような順番になるか、という質問でした。

a. 中国
b. 韓国
c. 台湾
d. フィリピン
e. ベトナム
f. スペイン
g. オーストラリア
h. 日本(日本語教師志望の大学生)

 読者の方からお答えを送っていただきました。どうもありがとうございました。まずは、その一つをご紹介しましょう。

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b(韓国) c(台湾) a(中国) h(日本) e(ベトナム) d(フィリピン) g(オーストラリア) f(スペイン)

理由:韓国や中国の学習者は、こまめにノートをとったり、細部にこだわるイメージがあります。文法が大事だと思っているというよりは、テキストで勉強することが好きというか、あまり苦にしないような気がします。学校教育がそのようなスタイルなのでしょうか。逆に、文法に全く重きをおいていないと感じるのは、インドです。
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 さて、正解を発表しましょう。
 正解は、e d g f c a b h です。

 つまり、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、スペイン、台湾、中国、韓国、日本の順です。上位の「ベトナム、フィリピン」は「賛成」が強く、「オーストラリア、スペイン、台湾」は「賛成」がやや強いという結果でした。一方、「中国、韓国、日本」は、「外国語学習で一番大切なのは文法である」というビリーフに対して「反対」という傾向が若干強いという結果でした。

 これは、現地の日本語教師が「正確さ志向」(久保田2006)かどうかの調査結果と関係があります。

 上位の「ベトナム、フィリピン」は教師も「正確さ志向」が強く、教師と学習者のビリーフは一致しています。また、「スペイン、台湾」は教師の「正確さ志向」は中程度で、学習者も「文法が大切」というビリーフへの賛成度は中程度なので、両者のビリーフは一致しています。

 しかし、「オーストラリア」は、教師は「正確さ志向」が弱いのに対し学習者は「文法が大切」というビリーフがやや強く、教師と学習者のビリーフが一致していません。さらに、中国や韓国は、教師の「正確さ志向」は中程度なのに学習者は「文法が大切」とは思っていないのですから、教師と学習者のビリーフの食い違いが見られます。

 また、日本語教師志望の日本人大学生は、「文法が大切」というビリーフへの反対の傾向が世界各地の日本語学習者と比べて最も強く、日本語教師となったときの学習者とのビリーフの違いが大きく意識されることになるでしょう。

 以上のように、教師と学習者のビリーフの傾向が一致していれば教室内で問題はそれほど起きないでしょうが、食い違いがあると授業や学習がうまくいかなくなる恐れもあるかもしれません。言語学習が成功するかどうかということには、教材や教え方、学習方法も大切ですが、教師・学習者双方のビリーフを意識することも大切だと言えるでしょう。

 今回ご紹介した回答を送ってくださった方は、日本に近いアジアの人たちは真面目で細部にこだわり、テキストでの勉強を苦にしないというイメージをお持ちでした。上で見たように、この地域の学習者には文法をあまり重視しないビリーフの傾向があることが分かりましたが、もしかすると、この方たちは細部にはあまりこだわらないのかもしれません。

 ついイメージやステレオタイプで捉えてしまいがちですが、もし、あなたが海外で仕事することを希望するなら、日本語の教師に限らず、現地の人の考えを知るのが大切ということです。うまく知ることができるかどうかは、あなたのコミュニケーション能力にかかっているのかもしれませんね。

参考:
阿部新(2014)「世界各地の日本語学習者の文法学習・語彙学習についてのビリーフ―ノンネイティブ日本語教師・日本人大学生・日本人教師と比較して―」『国立国語研究所論集』8.1-13. http://www.ninjal.ac.jp/publication/papers/08/pdf/NINJAL-Papers0801.pdf
久保田美子(2006)「ノンネイティブ日本語教師のビリーフ―因子分析にみる「正確さ志向」と「豊かさ志向」 ―」『日本語教育』130: 90?99.

(日本語学科 阿部 新)

今月のチャレンジ

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第30回、12月のチャレンジは、世界の日本語学習者についてです。
世界には、日本語を外国語として学んでいる人たちがたくさんいます。2012年に行われた国際交流基金の調査によると、世界の136の国と地域で約399万もの人が日本語を学んでいるそうです。以下は、2009年と2012年の学習者数上位5か国(地域)です。

<2012年調査><2009年調査>
1位中国韓国
2位中国
3位韓国
4位オーストラリアオーストラリア
5位台湾台湾


 質問1:Aに入る国はどこでしょうか。
 質問2:2012年の調査では、これまで最も学習者が多かった韓国が3位になりました。韓国では、なぜ日本語学習者が減ったのでしょうか。


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