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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第28号 2015年10月8日〕


今月の話題  「日本の信仰」

 第27回、9月のチャレンジは、日本の信仰について「絵馬」をテーマに出題しました。
 まず、どのような内容が出題されたのか、見てみましょう。
日本では、神様が馬に乗って人間の住む俗世界に降りてきたという伝説が古くからあります。また、お盆になるとナスやキュウリに割り箸などを刺して、牛や馬の形に似せた飾りを作ったりすることにも見られるように、自分たちの祖先も馬に乗ってこの世に帰ってくると信じられています。馬は日本の信仰において特別な意味があるようです。

社寺などの境内で、馬の絵と商売繁盛や家内安全、合格祈願などの願い事を書いた小さな木の板を見かけることがあります。この木の板を「絵馬」と呼びます。『続日本紀』には、神様に生きた馬を奉納して祈願したということが記されており、人々の信仰に馬が関係してきたことを象徴する絵馬の起源は、平安時代に遡って考えることができます。では、なぜ人々は木の板に馬の絵を描き、またその板に願い事を書いて社寺に奉納するようになったのでしょうか。

この出題について、頂いた解答を皆さんにご紹介します。

かつて「生きた馬を奉納して祈願した」のは、「願いを馬にのせ、神さままで届けようとしたから」ではないか。 馬そのものを奉納するには費用と手間がかかる。それを絵に描いた馬で代用すれば、庶民も気軽に奉納することができるようになり、寺社が広くお金を集めるのにも役立つ。そういった理由で絵馬が浸透したのではないか。

お送りいただいた解答では、生きた馬を奉納することから、絵馬に願いを書いて奉納する形へと、信仰が変化してきた背景について着目されています。生活のできる範囲内で奉納を続けてきたという庶民の信仰のあり方が、絵馬の浸透に関係してきたとお考えになった点は、信仰を考える上で大切なことです。

 では、生きている馬から絵馬を奉納する形へと、信仰の形が変わってきた背景について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 馬は「神馬」(しんめ)として神社の境内の厩に白馬がつながれていることがあります。神社で神輿が用いられる以前は、馬の背に鏡を下げた榊を備えて、そこへ神を降ろしてきました。馬は神様をこの世に降ろす乗りものとされ、その頃から、乗りものである馬を神様に奉納する信仰が形づくられてきたと考えられています。

 実は、絵馬が登場するまでは「馬形」(うまがた)という木や土で作った馬が奉納されてきました。『常陸国風土記』や『続日本書紀』より、それらは平安時代におこなわれてきたことが考えられています。そして、板が使われるようになった絵馬の形式は、静岡県浜松市の伊場遺跡より、奈良時代には存在していたことが確認されています。

 生きた馬から木製品や土製品、そして絵馬へと奉納の形が変わってきた理由の一つとして、やはり神様に生きた馬を奉納するには経済的な負担が大きかったという点が考えられています。

 室町時代になると、大型の大絵馬が作られるようになり、それを掲げるための絵馬堂が建てられました。さらに桃山時代には、著名な画家が描いた絵馬も現れ、馬以外の図(神仏を象徴するもの、祭礼風景、芸能、干支などの動物、農業や漁業その他の生業など)も描かれるようになりました。これらは、馬を奉納するという信仰の視覚化や鑑賞化が進んだものとして考えられています。

 江戸時代になると、商売繁盛、家内安全、子宝や母乳を授けてほしという願いから絵馬が求められるようになっていきました。絵馬の需要が高まり、絵馬を大量に製造する絵馬屋が登場したことから、絵馬は庶民の信仰として広まったとされています。
 
 時代が変化し社会的な情勢が移り変わってきた中で、生活環境が様々に変化しながらも、神様に願いを込めて奉納しようとする民衆の心は、今も変わらず受け継がれています。絵馬の起源や歴史を通じ、奉納という慣習は、無理なく自然な形でおこなわれるものであり、民衆の精神やその地域の風土を象徴するものであることが分かります。

 これから季節は秋から冬へと移り変わり、社寺では、新年に向けて家内安全や商売繁盛の祈願や合格祈願など、絵馬に願いを込めて奉納する人々の姿が多く見受けられるようになります。絵馬を手にした時には、日本の文化の継承に心をよせながら、一筆、願いを書いてみてはいかがでしょうか。

(日本語学科 齋藤 絢)

今月のチャレンジ

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 第28回10月のチャレンジは、球技名の漢字表記についてです。

 日本語の球技名には、カタカナ表記の他に、漢字表記も存在するものが多くあります。漢字で書かれた以下の1〜6のスポーツ名は何でしょう。

1蹴球 2籠球 3庭球 4排球 5打球 6鎧球

また、日本語で漢字表記のない球技名は何でしょうか。

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