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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第25号 2015年7月9日〕


今月の話題  「となりの源べェさん」

第24回、6月のチャレンジは、ちぐはぐな会話についての出題でした。

昔、落語のマクラでよく使われていたネタです。お断りしておきますが、耳の遠い人をからかうような内容なので、今はちょっとやりにくくなっているようです。ここでは、ことばを交わすことの意義を考える一つの例として取り上げることをお許しください。
縁側で
ご隠居「ばあさん、今そこォ通ったのは、隣の源ベェさんじゃないかね」
おかみさん「おじいさん、いやですねェ、今通ったのは、隣の源ベェさんですよ」
ご隠居「そうかい、おらぁまた、今通ったのは、隣の源ベェさんかと思った」

ご隠居は、この後も、‘ばあさん’がそばにいることに心の安らぎを感じながら、縁側でのんびりと日を送ったことでしょう。
ことばのやりとりとしては、ぜんぜん通じていないわけですが、では、この会話は無意味、無駄なものでしょうか。何か意味があるとしたら、それはどんなことでしょうか。

ことばは、コミュニケーション、つまり、情報伝達の手段として使われます。コメ作りの方法を伝えるとか、だれが廊下の掃除をするか決めるとか、今夜のおかずは何がいいかとか、そんな情報をやり取りすることによって、人間の社会が成り立ち、運営されています。

しかし、コミュニケーションで伝えられる情報は、そういった‘実質的な’ものだけではありません。同じことを伝えるにも、「うるさい」「少しお静かに願います」「おやすみのお客様がいらっしゃいますので……」、どんな言い方をするかによって、印象がまるで違います。相手に対する押し付けの強さ、尊重のしかたなど、つまり‘ニュアンス’が実質的な情報とともに伝えられます。

さらに、相手にことばをかけること自体が、重要な意味をもちます。
朝、玄関前で
出かけようとしている奥さん「おはようございます」
道を掃除している隣の奥さん「あら、おはようございます。お出かけですか」
出かける奥さん「(お出かけは、見ればわかるでしょ)ええ、ちょっとそこまで」
掃除中の奥さん「(そこって、どこよ)いってらっしゃい」

この例は、‘中身のない会話’の例として、よく話題になりますが、実は、ちゃんと意味があります。まず、互いにあいさつをすることで、相手とのいい人間関係を保つ意志があることを示します。出かけるのかと、余計なお世話なのに尋ねることは、相手に関心をもち、配慮する態度を示します。それに応えなければ、良好な関係を保つ意志がないと受け取られる、でも、プライベートなことを詳しく知らせたくはないから、「そこ」というあいまいな答えにしておきます。相手も、それ以上問いただしたりしません。この場面では、ことばを交わすことは、人間関係を良好に保つことが目的で、おおげさに言えば、相手を一個の人格として認めていることを表しています。実質的情報のやりとりはどうでもよくなっているわけです。

ことばを交わす行為は、重要な意味をもちます。ケンカして口もきいていなかった友達に、「暑いね」とひと言かけるのをきっかけに仲直りといったことはよくあります。おしゃべり、雑談も、話の中身はどうでもよくて、ただ話すことそのものが楽しく感じられます。

最初の「源べェさん」の例でも、ご隠居は、おかみさんがそばにいて、自分に気を付けてくれていることを確認し、おかみさんも、ご隠居の存在を気にかけていることを示して、仲の良さを確認しています。

言語には、このような‘人間関係の構築・保持・修復’のはたらきがあると考えられています。‘交話的機能phatic function’と呼ばれています。いろいろな人とことばを交わし、いい人間関係を作ってみましょう。ただし、あまりおしゃべりばかりしていてはいけません。

(日本語学科 中道真木男)

今月のチャレンジ

★ このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題します。解答を考えて送ってください。タイトルを「7月のチャレンジ」として、解答のあとに、お名前と所属を書き添えてください。
★ 送り先は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)です。
★ 次号で、送っていただいた解答のうちおもしろいものと解説を掲載します。

第25回、7月のチャレンジは、日本語の文末スタイルについてです。

みなさんは、日本語の文末スタイルには、丁寧体と普通体があるのを知っていますね。丁寧体は「です・ます体」、「普通体」は「だ・である体」とも言われています。

丁寧体:名古屋外国語大学は愛知県日進市にあります。
普通体:名古屋外国語大学は愛知県日進市にある。

名古屋外国語大学の日本語学科には、毎年数名の留学生が交換留学等でやって来ます。この留学生たちは母国で既に日本語を勉強しているので、名古屋外国語大学の通常のクラスに入って、日本人と一緒に勉強します。ある授業で、留学生と日本人学生同士でメールを交換してもらいました。その授業は始まって数回しか経っておらず、学生同士はまだ直接話したことが殆どありませんでした。

留学生が日本人に送ったメールは、(1)のように始まっていました。

(1)「私は〇〇だ。覚えているかな。留学生の〇〇だよ。」

それに対する日本人の学生の返事のメールは、(2)のような感じでした。

(2)「こんにちは。□□です。もちろん覚えていますよ。」

また、(1)を書いた留学生は、教師にもメールを送ってきましたが、それは(3)のような調子でした。

(3)「先生、留学生の〇〇です。今日は頭が痛いので、欠席します。申し訳ありません。」

さあ、みなさんは、これらのメールを読んで、どんなことを感じましたか。留学生は、日本語の文末スタイルをどのように捉えているのでしょうか。思いついたことを書いて、送ってください。

★ あなたのお答えをお待ちしています。
★ ご意見、ご希望、ご質問もお寄せください。
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