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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第24号 2015年6月11日〕


今月の話題  「源氏物語を味わう」

第23回、5月のチャレンジは、日本の代表的な古典文学『源氏物語』からの出題でした。

『源氏物語』には「もののけ」が重要な意味を持って登場します。
「もののけ」―思わずぞっとするようななんともいえぬ言葉ですが、「もの(物)」とは霊、「け(怪)」とは病のことです。つまり、「もののけ」とは、霊が何かの原因で病み、普通と違う状態になっているという意味になります。もちろん霊は死霊だけでなく生霊もいます。今回はその「もののけ」に関しての問題です。

問1 光源氏と夕顔は「なにがしの院」という場所で愛し合ったのですが、夜中に夕顔は「もののけ」に取り殺されてしまいます(「夕顔」の巻)。では「なにがしの院」とは現在のどこにあたるのでしょうか。次の中から探してみましょう。

1.鞍馬寺
2.宇治の平等院
3.廬山寺
4.釈迦堂
5.枳殻邸渉成園

問2 作者はなぜこの場所を物語の舞台として選んだのでしょうか。考えてみましょう。

「なにがしの院」とは「六条河原院」のことで、現在の枳殻邸渉成園にあたります。

六条河原院は、平安時代、源融(みなもとのとおる)の邸でした。源融は、嵯峨天皇の皇子でありながら臣籍降下し「源氏」を名乗った人物で、光源氏のモデルともいわれています。天賦の才で左大臣まで昇りつめ、天皇になるチャンスも訪れますが、再三、藤原基経に邪魔をされ不遇の人生を送りました。そのためでしょうか、融の死後、六条河原院には怪しげな妖気がただよい、王朝人に恐れられたスポットとなっていました。やがて河原院は宇多天皇の住まいとなり、天皇が実際に融の幽霊に遭ったという話は有名です。また、この邸で猟奇殺人も起こり、邸に棲む鬼の仕業との噂もありました。

作者である紫式部は、六条河原院がおどろおどろしい地であることを知っていたので、光源氏と夕顔の密会場所に設定したのです。

光源氏はまだ十七歳の貴公子ですが、大胆にも六条御息所と密会をしながら、同時進行で夕顔とは正体を隠して逢い引きをします。そのうえ鬼の棲むような場所で御息所を夕顔と比較して批判し嘆いてしまうのです。なんという男としての未熟さでしょう。未熟な男性ほど一人の女性に絶対的な価値を見出すのではなく、相対的な評価をくだしてしまいます。

そのあさはかな光源氏の「心の鬼」に「なにがしの院の鬼」がつけこみ、御息所の「もののけ」を呼んでしまいました。恐れを知らない若き光源氏は、その未熟さから、とうとういとしい夕顔を死なせてしまったのです。

【拙書(2008)『姫君たちの京都案内―『源氏物語』と恋の舞台』(淡交社刊)参照】

(日本語学科 蔵田敏明)
<データ>
枳殻邸渉成園は東本願寺の飛地境内になっており、500円で参観すると豪華なガイドブックがもらえます。初夏の京都で『源氏物語』片手に散策するのもまた一興。

拝観時間9:00〜17:00
京都市下京区烏丸通七条上る
075-371-9210


今月のチャレンジ

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第24回、6月のチャレンジは、日常会話についての問題です。

昔,落語のマクラでよく使われていたネタです。お断りしておきますが,耳の遠くなった人をからかうような内容なので,今はやりにくくなっているようです。ここでは,ことばを交わすことの意義を考える一つの例として取り上げることをお許しください。

縁側で

ご隠居「ばあさん,今そこォ通ったのは,隣の源ベェさんじゃないかね」
おかみさん「おじいさん,いやですねェ,今通ったのは,隣の源ベェさんですよ」
ご隠居「そうかい,おらぁまた,今通ったのは,隣の源ベェさんかと思った」

ご隠居は,この後も,‘ばあさん’がそばにいることに心の安らぎを感じながら,縁側でのんびりと日を送ったことでしょう。
ことばのやりとりとしては,ぜんぜん通じていないわけですが,では,この会話は無意味,無駄なものでしょうか。何か意味があるとしたら,それはどんなことでしょうか。


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