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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第22号 2015年4月9日〕


今月の話題  「コミュニケーションの小さな摩擦part 2」

第21回、2月のチャレンジは、1月に引き続き「コミュニケーションの小さな摩擦」について考えてみようというものでした。

下の会話内で使われている「チェア フル」ということばが、AさんとBさんの間では簡単に通じているのに、Cさんには通じていないのはなぜか考えてもらいました。

1A:Bさん、ごめん。今、チェア フルだから、Cさんに外でもう少し待っててもらって
2B:了解 (Cさんのほうへ行く)
3B:Cさん、お待たせしていてすみません。今、チェア フルなので、もう少しこちらでお待ちいただけますか
4C:チェアフル?
5B:あ、チェアがいっぱいなので
6C:チェアがいっぱい… あ、はい

解答を送ってくださった方の多くが、「チェア フル」が「チェア=椅子」「フル=いっぱい」ということから「空いている椅子がなくて座る場所がない」という意味だということは容易に想像出来たようです。

では、なぜ、通じたり通じなかったりということが起きたのでしょうか。何人かの方が、聞き手であるBさんやCさんがその言葉を知っているかどうかであると、聞き手の問題を指摘していました。確かに、話されたことが理解できるかどうかは聞き手次第でしょう。しかし、話し手のほうが聞き手に合わせて言葉を選ぶということも大切なことです。

すでにお分かりの方も多いと思いますが、AさんとBさんは同じ職場(医療機関)で働く同僚同士で、Cさんはそこに来た患者です。AさんとBさんの間では、「チェア フル」という言葉が普段の会話の中で頻繁に使われているのでしょう。しかし、そのような言葉に馴染みのない患者Cさんにとっては「チェア フル」がなんのことかさっぱりわからなかったというわけです。2月のチャレンジでは、「チェア フル」とカタカナで表記したので分かりやすかったかもしれませんが、「ちぇあ ふる」とひらがなで表記されていたり、「ちぇあふる」とスペースがなかったりしたら、文字を通しての理解も難しかったかもしれません。

「チェア フル」が最初わからなかった方も、5Bの発話「あ、チェアがいっぱいなので」を見て、「フル」から「full」が想像できたのではないかと思いますが、「full」を知らなければ5Bの発話を聞いてもピンとこないでしょう。ちなみに、この会話のAさんBさんは20代〜30代で、Cさんは80代ぐらいの方でした。カタカナ語の使用については、若い世代のほうが中高年に比べて使用頻度が高いように思われがちですが、必ずしもそうではないようです。世代によるカタカナ語の使用について行った調査(杉島2005)によると、例えば「ホース」は中高年では91%が使うと答えているものの、大学生の使用は41%だったというのです。このことからも、世代差のある相手にはより配慮が必要だということがわかりますね。

また、上の会話は、カタカナ語という問題だけでなく、専門用語、業界用語に関わる問題でもあります。専門用語は、その分野に精通する人同士では、その語が指し示す意味を共有でき、コミュニケーションを円滑にするというメリットがあります。しかし、分野外の人にとってはまったく理解できないという問題もあります。2月のチャンレンジ問題に出てきた「チェア」というのも、実は、単に「椅子」のことではなく、「歯科や口腔外科で患者が座る診療用の椅子」(「ユニット」と呼ばれる場合もあり)のことを指しています。「チェア」が、一般の椅子の意味でも用いられていることから、専門用語という認識が薄れ、つい患者にも使ってしまったという可能性もあるかもしれません。世代差のある相手へのカタカナ語の使用と同じように、一般の人への専門用語の使用は気を付ける必要があるでしょう。

 2月のチャレンジ二つ目の質問では、わからないカタカナ語に出会った経験をお尋ねしました。わからなかったカタカナ語としては、「リマインド」、「アポ(アポイント)」、「コンテクスト」、「マイル」、「パワポ(パワーポイント)」などが挙がりました。これらは、主に高校生の皆さんから寄せられたものです。また、わからないカタカナ語を聞いたときの対応としては、後でこっそり調べると答えた人が意外に多かったです。4月になり、名古屋外国語大学ではたくさんの新入生を迎えましたが、カタカナ語の使用について、上級生や教職員の配慮が必要であると感じました。新入生や新入社員とのコミュニケーションが増えるこの時期、皆さんも自分が使うカタカナ語や専門用語をちょっと意識してみてはいかがでしょうか。

杉島一郎(2005)「カタカナ語の使用における中高年者と大学生の比較」『仁愛大学研究紀要』第4号、pp.45-56.
(日本語学科 近藤有美)

今月のチャレンジ

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第22回、4月のチャレンジでは、「日本に暮らす外国人」について考えてみましょう。

名古屋外国語大学は、愛知県と去る3月20日に多文化共生社会づくりに関わる連携協定を締結しました。調印式のことがテレビや新聞でニュースになりましたから、ご存知の方もいるでしょう。NUFSのホームページ(http://www.nufs.ac.jp/)にも記事が出ています。

ところで、「多文化共生」とはどういうことでしょうか。言語や文化を異にする人々が互いに相手を尊重し、違いを乗り越えて居心地のいい社会を作り出していこうというのが「多文化共生」の精神です。これは素晴らしいことですが、このような社会を実現するには日本社会の多数派である日本人の意識を大きく変えていくことが求められます。

そこで、今月のチャレンジでは日本に暮らす外国人について問題を用意しました。次の3つの文章にはそれぞれ1つ誤りがあります。その誤りを指摘してください。

(1)日本に3ヶ月以上滞在する「在留外国人」は、2008年末に約214万5千人と過去最大になりました。しかし、その後、世界同時不況(2008年)、東日本大震災(2011年)の影響から一時減りましたが、昨年2014年末には212万2千人まで増えてきています。また、在留資格別にこの4年間(2010年〜2014年)の推移を見ると、特別永住者も永住者も毎年増えていますが、定住者、日本人の配偶者等は減り続けています。

(2)愛知県には2014年6月現在で約19万9千人の外国人住民が暮らしています。国籍(出身地)別では、中国、ブラジル、韓国・朝鮮、フィリピン、ベトナムの順になっています。外国人住民が県内総人口に占める割合はおよそ2.7%で、愛知県下で外国人住民の比率がもっとも高いのは知立市の6.26%となっています。

(3)文部科学省の学校基本調査によると、2012年度に全国の公立小中高校に在籍した外国人児童生徒は約7万1500人で、そのうち9,939人(約14%)が愛知県に暮らす子どもたちでした。また、その中で日本語指導が必要だと判断された子どもは5,878人で2位の東京都の2,863人を大きく上回る全国1位でした。もう1つ注目すべきことは、日本国籍で日本語教育が必要な児童生徒が全国に6千人あまり、愛知県に1,113人いたことです。

 以上のような数字は何を意味しているのでしょうか。読者の皆さんの考えも教えてください。

★ あなたのお答えをお待ちしています。
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