グローバルナビゲーションを飛ばして本文へ

グローバルナビゲーションを飛ばしてローカルナビへ

グローバルナビゲーションを飛ばしてフッターナビへ



= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第21号 2015年2月12日〕



今月の話題  「コミュニケーションの小さな摩擦と柔軟さ」

第20回、1月のチャレンジでは、メールやインターネットで頻繁に目にする顔文字を取り上げ、その意味解釈の違いについて考えてもらいました。

日本語を用いた携帯電話やスマートフォンにおけるやりとりでは、記号や顔文字、絵文字などを効果的に使用して、視覚に訴えつつコミュニケーションを行う手法が発展してきました。そのような表現を整理した三宅(2012)によると、表現の種類には記号、顔文字、絵文字、カッコ文字などがあります。記号には「★」や「♪」などがあり、顔文字には(^ ^)や(>_<)があります。また、絵文字は携帯電話各社が用意した、絵そのものが1文字分のスペースを占めて文中に表示されるような記号があります。また、カッコ文字は「もう寝る(爆)」や「許さん!(笑)」などの「(爆)」や「(笑)」などがあります。

さて、先月のチャレンジでは、これらの表現のうち顔文字を取り上げました。私の授業の中で学生が行ったアンケート(10代〜50代の男女43人対象)での結果を元にして、顔文字の意味の理解には違いがあることを紹介しました。

「m(__)m この顔文字の意味は?」
・ごめんなさい 29人
・土下座 8人
・ショック 3人
・よろしくお願いします 2人
・悲しい 1人

この結果を見ながら、以下の質問を考えてもらいました。

質問1:
「顔文字の理解にこのような違いがあると、どんなことが起きてしまうでしょうか。顔文字を使う理由と合わせて考えてみてください。」

皆さんから寄せられた答えの主なものは、「互いにすれ違い、誤解を引き起こしてしまう」というようなものでした。しかし、本当にそうなのか?考えてみましょう。

送り手の心理状態や感情を示すという顔文字や絵文字の機能について、興味深い調査結果があります。顔の表情やハートなどの絵文字を使ったやりとりの分析によると、文の意味とは異なる感情を表す絵文字の使用(例:「もう寝るね(^^;)」)が、文の意味に合わせた絵文字の使用(例:「かわいそうに(;_;)」)の4倍以上もあることが分かりました。

つまり、メッセージの内容と絵文字を関連付けて、メッセージの受け手がその意味を読み取ったり察したりする必要がある状況がかなり多いということが分かったのです。結局、それぞれのメッセージが送られた状況に応じて、メッセージの受け手がいろいろに解釈する余裕が生まれているのです。だからこそ、一つの顔文字・絵文字に対していろいろな理解がなされるわけです。

このような状況では、確かにすれ違いや誤解を引き起こす可能性もありますが、いろいろな解釈の余地をメッセージの受け手に与えることで、受け手が自分に都合のよい解釈をすることも可能になるのです。「m(__)m」を「よろしくお願いします」と理解する人がいるとしたら、それはそれでメッセージがやりとりされた状況に合っていたのかもしれません。このように考えると、顔文字の解釈が違っているからといって、必ずしもすれ違いや誤解が起こるわけではなく、メッセージの受け手は状況に合わせた解釈を行って、やりとりをスムーズに行う方向を目指そうとするというわけですね。

このように考えてみると、顔文字の解釈が異なることも悪いことではなさそうです。解釈に柔軟性があることで、メッセージの送り手と受け手の間での不要な衝突を避けることもできるのです。文の意味を直接示すような顔文字・絵文字を使用してしまうと、意味の伝わり方が直接的過ぎて、場合によっては人間関係を損なうこともあるかもしれません。

以上を踏まえつつ、1月のチャレンジの質問2を考えてみましょう。

質問2:
「みなさんの周りでは、この顔文字「m(__)m」はどんな風に理解されているでしょうか。周りの人3人に尋ねてみて、その答えを送ってください。答えてくれた人の年代(10代、20代、30代、40代、50代以上)も合わせて送ってください。」

この質問に対しては、30代の方が「ピース」という意味だと答えてくれたという回答が興味深いものでした。私の授業の中で学生が行ったアンケート(10代〜50代の男女43人対象)には見られなかった答えです。しかし、先ほどの解説をもとにして考えれば、この解釈は決して誤解ではなく、こういう風に解釈すべき状況のもとで、この顔文字がやりとりされたということなのでしょう。そう考えれば、これもまた正しい解釈とも言えるのです。

顔文字などの視覚に訴える表現によって、とてもしなやかで柔軟なコミュニケーションを行っていることが分かりますね。

参考文献
三宅和子(2012)「ケータイの絵文字−ヴィジュアル志向と対人配慮―」『日本語学』31巻2号.

(日本語学科 阿部新)

今月のチャレンジ

★ このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題します。解答を考えて送ってください。タイトルを「2月のチャレンジ」として、解答のあとに、お名前と所属を書き添えてください。
★ 送り先は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)です。
★ 次号で、送っていただいた解答のうちおもしろいものと解説を掲載します。


第21回、2月のチャレンジでも、1月のチャレンジ同様「コミュニケーションの小さな摩擦」について考えてみましょう。1月のチャレンジでは書きことば(絵文字)を扱いましたが、2月のチャレンジは話しことばについてです。

まず、次の会話を読んでみてください。
 A:Bさん、ごめん。今、チェア フルだから、Cさんに外でもう少し待っててもらって
 B:了解 (Cさんのほうへ行く)
 B:Cさん、お待たせしていてすみません。今、チェア フルなので、もう少しこちらでお待ちいただけますか
 C:チェアフル?
 B:あ、チェアがいっぱいなので
 C:チェアがいっぱい… あ、はい

これは、ある医療機関で実際に交わされていた会話を文字化したものです。
AさんとBさんの間では問題なく通じていた「チェア フル」ということばが、Cさんにはまったく通じていないことがわかります。
では、なぜ、このようなことが起きてしまったのでしょうか。

今月のチャレンジでは、カタカナ語の使用について、下の二つの質問について考えてみてください。

質問1:上の会話例について、「チェア フル」というカタカナ語が通じたり通じなかったりするのはなぜだと思いますか。

質問2:上の会話例のように、会話相手が使ったカタカナ語がわからず困ったという経験があれば、紹介してください。(場面(どこで、どんな状況のとき)、会話の相手(年齢、性別、職業等)、使用されたカタカナ語、そのときの対処法など)

★ あなたのお答えをお待ちしています。
★ ご意見、ご希望、ご質問もお寄せください。
★このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題し、翌月号で皆様に送っていただいた解答の中のおもしろいものを紹介しながら、解説します。

※メルマガの受信を希望される方は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)にお申込みください。「メルマガ受信希望」と記して、お名前と学校名または所属をお書きください。クイズの解答も、このアドレスにメールで送ってください。送信できないなどの場合は、「名古屋外国語大学受験生サイト」の「お問い合わせ」から問い合わせてください。

=======================
名古屋外国語大学外国語学部日本語学科
〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57
電話 0561-74-1111(大学代表)
=======================