グローバルナビゲーションを飛ばして本文へ

グローバルナビゲーションを飛ばしてローカルナビへ

グローバルナビゲーションを飛ばしてフッターナビへ



= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第20号 2015年1月8日〕


今月の話題  「「複言語」使用者について考える」 

第19回、12月のチャレンジでは、以下の英語エッセーコンテストの応募条件、つまり「原則、英語を母国語としない高校生」について考え、マウロ君やハンナさんには応募資格があるのかどうか判断するというものでした。


応募資格 原則、英語を母国語としない高校生とします。

<一般部門>海外経験部門に当てはまらない高校生
<海外経験部門>海外の小中高で一年以上の在学経験がある高校生


?マウロ君の父親はイタリア人、母親は日本人ですが、両親とも生後まもなくアメリカに移住し、大学卒業まではアメリカで暮らしていました。マウロ君自身は日本生まれ、日本育ちですが、日本とイタリアの二重国籍です。マウロ君の家庭では、日本語と英語で話しています。

?ハンナさんの母親はイギリス人、父親は日本人で、彼女は 5歳までは両親とロンドンで暮らしていました。第一言語は英語で、当時は日本語より英語が得意でしたが、小学校入学前に、父親と二人で、日本に引っ越してきてから今までの 10年間は、日本の教育しか受けておらず、英語は学校の授業以外ではほとんど使っていません。現在イギリスと日本の両方の国籍を持っています。

皆さんからの回答

皆さんからの回答は、以下に引用したように、二つに分かれていました。

(1)マウロ君は出場可、ハンナさんは出場不可
「マウロくんの国籍はイタリアと日本なので、母国語は日本語とイタリア語だからです」
「ハンナさんの国籍は英国と日本。従って英語は母国語。」

(2)マウロ君は出場不可、ハンナさんは出場の可能性あり
「マウロ君の国籍がある国での公用語は日本語とイタリア語ですが、マウロ君の母国語は英語と日本語だからです。」
「ハンナさんは応募資格があるかもしれません!なぜなら、今ハンナさんがほぼ日本語しか話せないという状況なら応募できるからです。」

 応募資格には、原則、英語を「母国語」としない高校生と記載されていますが、そもそも「母国語」とは何でしょうか。話者が国籍を持つ国で、「公用語」「国語」などとされている言語を指すのが一般的です。そうなると、回答(1)のように、たとえマウロ君がネイティブスピーカー並みの英語力を持っていたとしても、英語は父親の国であるイタリア、母親の国である日本の公用語ではないため、マウロ君の母国語ではないわけです。従って、彼には応募資格があることになります。一方、ハンナさんは、たとえ現在英語はあまり話せなくても、イギリス国籍も有しているため、英語はハンナさんの「母国語」だとも言え、応募資格はないことになります。つまり、二人の今の英語力や家庭の言語使用とは関係なしに、応募資格の有無が決まってしまうのです。

 では、どうして(2)のように回答した人が少なからずいたのでしょうか。

それは、応募条件にある「母国語」という言葉を、「母語」や「母語話者並の語学力」と捉えたからではないでしょうか。もしかしたら、主催者も(2)の様に考えていた可能性があります。

 バイリンガル教育の分野でも議論されていますが、異なる文化間、言語圏を移動する子供にとっては、「母語」を定義するのは、困難な面があります。「母語」は一般的に「人が最初に身につけた言語であり、今でも使える言語」とするのが妥当ではないかと考えられています。そして、日本では、圧倒的多数の人にとって、日本語が「生後最初に自然に学んだ言語」で、「今でも使える言語」であることから「母語」であり、日本の公用語(※)、国語でもあるため「母国語」でもあります。そんなわけで、自動的に「母国語」=「母語」と捉えている人も多いのではないでしょうか。

このエッセーコンテストの主催者は、海外での就学経験があっても、日本語を母(国)語とする人や、英語が母(国)語ではない人の応募を想定していると思われます。そして、多様な言語背景をもつ生徒の家庭内の言語使用や言語のレベルまでは考慮に入れていないと考えられます。

 では、マウロ君やハンナさんのような学生も含め、多様な生徒が日本の高校に通っている今日、あなたが、英語のエッセーコンテストやスピーチコンテストの応募資格を設定し記載するとしたら、どのように書きますか。ちょっと考えてみてください。

※日本では、法律等よって公用語が定められてはいませんが、公文書が日本語で書かれていることから、日本語を公用語相当とみなすことができます。

(日本語学科 高士京子)


今月のチャレンジ

★ このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題します。解答を考えて送ってください。タイトルを「1月のチャレンジ」として、解答のあとに、お名前と所属を書き添えてください。
★ 送り先は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)です。
★ 次号で、送っていただいた解答のうちおもしろいものと解説を掲載します。

第20回、1月のチャレンジでは、「コミュニケーションの小さな摩擦」について考えてみましょう。

 みなさんは、メールなどで顔文字を使っていることと思います。(^ ^)とか(>_<)などです。みなさんはこれらの顔文字をなぜ使っていますか。私の授業の中で学生が行ったアンケート(10代〜50代の男女43人対象)では、

・文章だけだと伝わりにくいのと文章が柔らかくなるから
・文字だけよりも感情を伝えやすい。誤解を防ぐため
・文章のかたさを和らげて相手との距離感を縮めてくれるため
・メールやLINEではお互い顔が見えないので、言葉だけでは誤解が生じるかもしれないため
・かわいいから

といった理由が挙がったとのことです。
 さて、このような顔文字ですが、同じアンケートで、

「m(__)m この顔文字の意味は?」

と尋ねました。どんな結果になったと思いますか。

・ごめんなさい 29人
・土下座 8人
・ショック 3人
・よろしくお願いします 2人
・悲しい 1人

以上のような結果でした。これらの結果から、以下の質問の答えを考えてみてください。

質問1:顔文字の理解にこのような違いがあると、どんなことが起きてしまうでしょうか。顔文字を使う理由と合わせて考えてみてください。

質問2:みなさんの周りでは、この顔文字「m(__)m」はどんな風に理解されているでしょうか。周りの人3人に尋ねてみて、その答えを送ってください。答えてくれた人の年代(10代、20代、30代、40代、50代以上)も合わせて送ってください。

★ あなたのお答えをお待ちしています。
★ ご意見、ご希望、ご質問もお寄せください。
★このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題し、翌月号で皆様に送っていただいた解答の中のおもしろいものを紹介しながら、解説します。

※メルマガの受信を希望される方は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)にお申込みください。「メルマガ受信希望」と記して、お名前と学校名または所属をお書きください。クイズの解答も、このアドレスにメールで送ってください。送信できないなどの場合は、「名古屋外国語大学受験生サイト」の「お問い合わせ」から問い合わせてください。

=======================
名古屋外国語大学外国語学部日本語学科
〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹ノ山57
電話 0561-74-1111(大学代表)
=======================