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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第8号 2013年12月12日〕



今月の話題  「文化が違う?」

第7回、11月のチャレンジは、日本の各地域で増えている外国人住民との問題、いわゆる異文化摩擦の一例でした。以下の話をどう考えるかです。背景については、メルマガ11月号をもう一度ご覧ください。
(中国帰国者同伴家族の子どもが通う保育園の保母さんの話)子供が遊んでいて汚した時のために、パンツの替えを園に置いておくようにお願いしているが、中国人の子どものお母さんは、それをしてくれない。しかたがないので、汚した時は、園に備え付けのものをはかせて帰し、後で洗って持ってきてくれるようにお願いしているが、絶対に返ってこない。

いろいろなお答えがありました。いろいろな方向から考えることができますが、典型的な感想は、次のようなものでしょう。
「日本人の常識で考えると、保育園から言われたとおり子供にパンツをもって行かせるのが普通だと思うし、備え付けのものをはかせてもらったら、きちんと洗って返すのが普通だと思うから、なぜ中国人の方はそれにしたがってくれないのか全くわからない」
「社会主義の国では、保育園など施設のものは国民全体のものという意識があるんでしょうか。ことばが通じていないのか、ただこのお母さんの性格がルーズなのかと思うけど、中国人のお母さんがみんなこうだとしたら、やはり何か文化のちがい、生活習慣のちがいが理由になっている気がします」
「考えられる2つの理由?(1)中国人のお母さんと保母さんの間でコミュニケーションがとれていない。言語的な問題で、中国人のお母さんはルールを理解できないでいた。保母さんの方は、中国人のお母さんはわかっていると思っている。?(2)中国と日本の文化差?中国では、パンツの替えを園に置くことや子供が一度はいた園のパンツを洗って返すという習慣がないのかもしれない」

‘文化の違い’ととらえる方は多いでしょう。しかし、“保育園にパンツを置いておく”“園のパンツを貸してもらえる”というのは、一般の日本人の‘文化’にあることでしょうか。お母さんたちは、入園してから説明を受け、なるほどそういうシステムなんだ、と思うはずです。

それに、習慣の違う外国に来た側にしてみれば、自分の文化・習慣がそのまま通用するとは思わないのが自然でしょう。中国人(やアメリカ人)はどこへ行っても自分のやりたいようにしかしないのだ、などというのは、(おそらく多少の悪意を含んだ)決めつけだと思われます。

そうなると、考えられるのは意思疎通、コミュニケーションの問題です。

この話が出された研究会で、講師の方がある可能性を教えてくださって、実は私もびっくりしました。中国から引き揚げた残留孤児や同伴家族の日本定住を支援する仕事を長年なさっている方ですが、彼女によると、「もしかして読めない人かもしれない」というのです。当時の中国の農村では、読み書きができない、あるいは、漢字は読めても文として意味がとれないといった人たちが相当の割合を占めていたのだそうです。だから、保育園が中国語で説明の文書を渡したとしても,読めないということが考えられます。今の日本では、識字率は99パーセントを超えていますから、字が読めない可能性に思い至ることはまずありません。それが日本での‘常識’です。話がわかっているのか、それを確認することは、ぜひ試みるべきでしょう。

もう一つ、もっと普通の意味での‘常識’の問題もあります。言われたことを、どれだけ厳密に守らなければならないか、といったことです。真夜中の横断歩道で、車が来ないのに信号が赤のとき、止まって待つ人より、渡ってしまう人のほうが多いでしょう。しかし、けっこうな交通量のある車道を、横断歩道でないところでうまく車をかわして渡ってしまう(しばらく前まで中国では普通のことでした)のはダメでしょう。どこまで融通をきかせていいか、どこはマジでやらなければならないか、これは、自分の文化の中にいてもむずかしいことです。保育園からたくさん来るよくわからないお知らせの、どれが大事か、どれは適当にしていいか、判断できなくてもしかたがないかもしれません。

結果は、こういうことにもなります。
「何度か読むにつれて、このお母さんに対するイメージが悪くなっていって、自分の中で、許せん、という感情がうまれてしまった。また、保育園の側では、もう少し違った対応をするべきだと思う。彼らにも事情があるだろうから、それをまず早い段階で情報として得ていれば、変わってくる気がする。これだけ読むと、そういう知る態度を示さずに、ただ文句だけ言ってるって感じがする」

いらだち、嫌悪といった感情に発展することはよくあります。それは、相手の側に対しても、その人たちとうまく折り合えない自分の側に対しても感じられるものでしょう。その感情にまかせて、関わりを避けたり排斥に走ったりすれば、どちらにとっても良くない結果をもたらすことは、頭では容易に理解できるはずです。が、いざ自分がそういう事態に直面したら……。

自分と違う人々に対して違和感をもつ、関わりたくないと思う、ついには、いなくなればいいと思うのは、ある意味、自然な人間の気持ちです。それでも、なんとか折り合いをつけて共に暮らしていくことが必要です(それは,実は外国人だけでなく、すべての他人について言えることです)。‘共生’のために最も効果があるのは、コミュニケーションの努力です。結果として話が通じることも大事ですが、むしろ通じさせようと努力する姿勢が最も有効です。その姿勢を互いに認め合うことで、かなりやりやすくなるものだと思います。

(日本語学科 中道真木男)

今月のチャレンジ

★ このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題します。解答を考えて送ってください。タイトルを「12月のチャレンジ」として、解答のあとに、お名前と所属を書き添えてください。
★ 送り先は、takenoko_re□@nufs.ac.jp(実際の送信時には□を省き、続けて入力してください)です。
★ 次号で、送っていただいた解答のうちおもしろいものと解説を掲載します。

第8回、12月のチャレンジは、発音で意味が変わることについての問題です。

かつて、銀行の名前を変更したことが、新聞の一紙面全面を使って伝えられました。仮に、「山川銀行」から「大空銀行」に変わったとしましょう。下に示すその広告文が話題になりました。

「山川銀行」から「大空銀行」へ
名前が変わっただけじゃない。
 

読み取り方(発音の仕方)に2通りあったからですが、読者はどのように理解してしまったのでしょうか。

(1)この広告を読んだ人の会話を示しますので、下線部にあてはまる日本語を答えてください。
(2)なぜBさんのような理解になったのでしょうか。

<読者の会話>
 A:へえ、山川銀行、名前が変わったのね。______________、サービスも良くなるのかしら。
 B:ええっ!そうじゃなくて、______________。

★ あなたのお答えをお待ちしています。
★ ご意見、ご希望、ご質問もお寄せください。

★このメルマガでは、毎号、日本語・日本文化、日本語力、国語教育、日本語教育などについての課題を出題し、翌月号で皆様に送っていただいた解答の中のおもしろいものを紹介しながら、解説します。

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