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= 竹ノ山 の タケノコ 通信 =
〔第2号 2013年6月13日〕



今月の話題  「ことばは気から」

第1回目,5月の課題では,日本語を外国語である英語と比較対照することで,日本語の言い回しについて考えてみようというものでした。

(1)〜(3)の英語表現は、どれも英語の禁止の命令文で、文脈なしだと「さわらないで下さい」と直訳できますが、実際3つの状況では異なる言い方をするのではないでしょうか。それぞれの状況に合うように訳してもらうことで、日本語の特徴に気づいてもらおうという狙いでした。

(1)美術館で、展示品のそばの張り紙に書かれた“Don’t touch”

(2)テーブルに置いてあるケーキのそばに弟の字で書かれた“Don’t touch.”

(3)ガラスの食器を触ろうとしている幼児に対して親が言う“Don’t touch that.”

(1)

(1a)「お手を触れないで下さい」

「触らないでください」といった直接的な表現を避け、(1a)の「(展示物に)お手を触れないで下さい」というのが一般的でしょう。日本語でも「展示物に」を省略するように、英語でも、直接目的語を伴わないDon't touchという表現を使います。その他には、稀ですが、(1b)の「○○まで、下がってご覧ください」や(1c)の「少し離れて△△の作品をお楽しみください」という文言も見かけたことがあります。これらは、「xxしないでください」や「xx禁止」という否定的な表現を避け、肯定的な言い回しを用いた例と言えます。

(1b)「○○まで下がってご覧ください」
(1c)「少し離れてXXの作品をお楽しみください」

似たようなものに、「トイレを汚さないでください」というかわりに、「トイレは清潔に」や「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」といった表現を目にする機会が増えました。今後、いわゆる「禁止表現」がさらに多様化する可能性もあります。


(2)

(2)は、弟が、自分のケーキを誰かに食べられないように書いたメモです。

(2a) 「食べないで(ください)」(←ぼくのケーキだから「食べないで」)
(2b) 「ぼくのケーキ」(←「ぼくのケーキ」(だから食べないで))

上記の二つの言い方は、どちらも同じ内容なのですが、(2a)が相手に直接禁止表現を用いて呼びかけているのに対し、(2b)は、食べないでほしい理由を言うだけで、あとは聞き手に察してもらおうというものです。このように、言語形式上、状況説明だけをして、直接的な依頼表現を用いないことはよくあります。静かにしてほしい時に、「黙れ」と言わず「うるさい」と言うのと同じです。

解答の中には、「絶対に食べるなよ」や「勝手に食べないで」というものもありましたが、ベストアンサーは、「毒入り、近寄るべからず」という、一休さんのような、弟の性格がよくあらわれている、ユーモアに富んだ和訳でした!解答ありがとうございました。

(3)

緊急事態なら、

(3a)「あぶない!」(←「あぶない」から、さわっちゃダメ!)
(3b)「(さわっちゃ)ダメ!」(←あぶないから、「さわっちゃダメ!」というかもしれません。

ガラス食器が割れて、幼児がけがをすることを心配している場合は、「あぶない!」と叫ぶでしょうが、来客前、食器をピカピカに磨いた直後で、「触って汚さないで」という気持ちが強ければ、別の表現を用いると思います。

また、いただいた解答の中には、「おりこうさんだから、さわんないでね」というやさしい言い方もありました。

前号の「人はことばで何をするのか」にもあったように、我々は、言葉で、他の人に,自分の意見や感情を伝えます。(3)は短くても、訳し方で、話し手の気持ちをはっきりと伝えることができるよい例です。

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日本語ではどんな言い方が一般的なのか、それが日本語のどんな特徴と関係しているのかを考えたいと思ったら、今回のチャレンジのように、英語の同一表現を状況に応じた日本語に訳してみるといいでしょう。このように、日本語学科では、日本語と英語を比較対照しながら、ことばのしくみについて勉強していきます。皆さんからの6月のチャレンジへの解答、お待ちしています。

(日本語学科 高士京子)


今月のチャレンジ

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第2回目,6月の課題では,広告や看板に現れる方言を考察することで,地域社会における方言の役割や方言によるコミュニケーションについて考えてみましょう。

方言は家族や地元の友達と,くだけた雰囲気の中でコミュニケーションをとるときに使う話し言葉です。しかし,方言が広告や看板にも使われているのを最近目にしたことはありませんか。以下の2枚の写真を見て下さい。これらは名古屋市内で見つけた「方言看板」です。

(A)名古屋駅の地下街で・おみやげの店の看板・「いっぺん来てちょ!」


(B)名古屋市営地下鉄栄駅構内で・朝日新聞デジタルの広告・「今なら500円/月もお得だがね。」


(朝日新聞社より掲載許可を得ています。朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。)

この2つの方言看板について,以下のことを考えてみて下さい。

(1)(A)と(B)はそれぞれ,どんな人に向かって方言を使っているのでしょうか。

(2)(A)と(B)のような方言の使い方の長所と短所として,どんなことが考えられますか。(A)と(B),それぞれについて考えてみて下さい。

(3)あなたは(A)と(B)のような方言の使い方に賛成ですか,反対ですか。それはなぜですか。

(4)あなたが見つけた「方言看板」があったら,教えて下さい。その際,画像と撮影場所,撮影年月(例:2013年5月)をお送りください。

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